My Journey to be a Jeweler

NY・ロンドン・アントワープ、ジュエリー留学と移住の記録

ビスポーク37:A missing wedding ring

※ジュエリーのオーダーをベルギー・アントワープから、日本とEU圏を中心に承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

メールアドレス info@ayano-jewelry.com

 

こんにちは、綾野です。

オーダーのお仕事のご報告です。

今回はなくしてしまった結婚指輪の片割れを再現させていただきました!

30年前の結婚指輪を今の自分に合う新しいデザインにリニューアル

結婚30周年を迎えられたアントワープ在住仲良しご夫妻からご依頼いただきました。奥様が結婚指輪をなくされてしまったそうで(わかります…お気に入りで毎日つけるものほどなくしがちですよね)、元々のデザインを踏襲しつつ、せっかく作るのであれば今の自分らしい個性のあるものを、とご相談いただきました。

お打ち合わせの末たどり着いたのは、太さの違う同じ形状のリングを重ね付けしているかのようなデザイン。加えて誕生石のエメラルドをおつけさせていただくことになりました。お仕事では指輪を外さなければならないため、指輪を下げることができるチェーンも合わせてお仕立てさせていただきました。

こんなふうに書くと失礼かもしれないのですが、パートナーが結婚指輪をなくしてしまったらただ怒ってしまうのが普通だと思うのです。ですがこちらのご夫婦は相棒の失敗?を笑って受け入れ、さらに新しい楽しみに昇華されていて、これが長年仲良く歩んでこられた秘訣なのだなぁと感じ入りました。

アントワープの業者さんを再開拓、レーザー刻印もできるようになりました!

同じデザインを形にするのにも様々な作り方がありますが、特に毎日つける結婚指輪は強度が重要ですので、2本のリングを繋ぐ部分の強度を担保するために、今回はシルバーで原型を作った上でプラチナで鋳造することにしました。

ですが、今までお願いしていた業者さんはプラチナがあまり得意ではなくて…いよいよコツコツ続けていたオランダ語を駆使して(というより画像と身振り手振りに頼っていますが笑)、アントワープ御徒町・ダイヤモンド街を彷徨い新しい業者さんを開拓することにしました。移住時は「英語できればもういいっしょ。」と甘くみていましたが、鋳造はフランダース語で「Gieten」と知らなければお店を見つけることすら難しく…やはり移住先での生活を充実させるためには現地語の学習は欠かせないなぁと痛感する日々であります。

結果、職人気質のお店と大手で幅広くやってくださるお店が見つかって、また自分の引き出しを増やすことができました。元々の指輪にお揃いで入っていた刻印に近しいフォントでレーザー刻印も施すことができ一安心。日本では中1日でできるところが10日かかるのはご愛嬌、当初想定していた納期から2ヶ月もお待ちいただくことになってしまったのですが(その節は本当にすみません!)、長丁場にお付き合いいただき本当にありがとうございました。

一緒につけてくださったお写真を頂戴しました。こんなふうに一緒に歳を重ねられたら素敵だなぁという自然体で楽しいご夫婦、お二人の絆をより強くするお手伝いができたのであれば幸いです。これからもご家族皆様、仲良く楽しくお過ごしになれますことを心よりお祈りしております。