My Journey to be a Jeweler

NY・ロンドン・アントワープ、ジュエリー留学と移住の記録

シャネルのジュエリー考察:言葉と生き様、そしてアウトプットが一気通貫してスタイルが生まれる。

こんにちは、綾野です。

 

突然ですが私、

俗にいう座右の銘があるんです。

 

My life didn’t please me,  
so I created my life.

“私の人生は楽しくなかった。
だから私は自分の人生を創造したの。”

ココ・シャネル 

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いやー

しびれますねー

 

尊敬する人誰って聞かれたら

ココ・シャネル戦国武将の斎藤道三と答えます。

 

一見全然違う2人ですが

大きな共通点があります。

 

どちらも身一つで成り上がっているんです。

 

ココ・シャネルは早くに母を亡くし

12歳のときに父に捨てられ孤児院で育っています。

キャリアのスタートは

昼・お針子、夜・キャバレーの歌手。

そこから様々な出逢いも手伝って

モードの女王となっていきます。

 

斎藤道三は名もない僧侶から

油商人を経て大名へと成りあがります。

戦国大名の人物像は研究によって都度変わりますが

  私にとっての斎藤道三はこれです。

  蝮の道三、どちゃくそ格好いいんで是非!

国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 (新潮文庫)

国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 (新潮文庫)

 

このキャリアを知ると冒頭の言葉の説得力たるや・・・!

そう、人生って与えられるものじゃない。

自身で創り上げるものなんです。

 

素晴らしい功績を残した人について

お金持ちの生まれと知ると

ちょっと萎えてしまうのですが

己の才覚のみでのし上がった人には

きゅんとしてしまいます。。。

 

個体としてすごかったんやろなぁ

 

そんな尊敬するシャネルがジュエリーも作っているんです。

そのジュエリーもすごいんです。

私がすごいと思うポイントを紹介させてください。 

 

シャネルのジュエリーはシャネルの美学の具現化

シャネルのジュエリーといえば

貴石ではなくイミテーションを使った

コスチューム・ジュエリーが有名です。

(ビジュー・ファンタジーともいう)

 

それまで女性が身につけるジュエリーは富の象徴、

それも自分たちが従属する

男性の財力や階級や示すものでした。

 

そしてこの時代、

働くことは卑しいとされていました。

装飾品で身を飾るということは

働かなくても良い高貴な身分であることを

表すことでもありました。

 

アンティークジュエリーは

ロマンティックなメッセージや

そのクラフトマンシップでうっとりですが

こういう側面は受け入れがたいですねぇ。。。

 

それに真っ向から抗い、

「富を誇示する」という要素を排除し

働く女性を含むあらゆる階層の女性が

装いを美しく魅せるための装飾品

を発明したのがシャネルでした。

 

シャネルのクリエイションは

羽飾りのないシンプルな帽子から始まり

動きやすいジャージー素材を使ったスーツ、

どんな場面でも使えるリトルブラックドレスなど

全て女性の解放に繋がっています。

 

女性の自立、その上での自由。

それがシャネルが提案する

20世紀のエレガンスであり

産業革命がおき大量生産・大衆化が進んだ時代に

ぴったりのものでした。

 

シャネル本人によるたった一度のハイジュエリーコレクション 

そんなシャネルですが好奇心の赴くまま

一生に一度だけ

ハイジュエリーのコレクションを発表しています。

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彼女はダイヤモンドに着目しました。

その理由は

「小さくても最も高い価値のあるものだから。」

 

そんなダイヤモンドをチョイスしながら

石自体のクオリティではなく

ラインやデザインを重視した事で

既存のジュエリーブランドとは一線を画しました。

富の象徴ではなく女性を美しく飾るもの、という

スタンスを貫いたのです。

 

コレクション発表の際は

ショーケースに入れるのではなく

着飾ったマネキンに装着する事で

実際につけた時の美しさを強調しました。

 

コレクションを作るにあたって

シャネルが選んだ5つのモチーフが

もうシャネルの哲学爆発でかっこいいんです。

 

今でも人気のコメット(彗星)

パリの夜空を見上げて閃いたとか。

 

I wanted to shower women in constellations!

女性を星で包みたかったのです! 

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軽快さの象徴であるプリュム(羽)

こんな名言のおまけつき。

If you're born without wings,
don't do anything to stop them growing.

“翼を持たずに生まれてきたとしても

自分の翼を持つために努力しなさい。”

ココ・シャネル 

あああああああああーーーー

かっこいいーーーーー

 

コメット、プリュムに加えて

リボン=しなやかで自由で女性の指を美しく飾るもの

フリンジ=無頓着で自由

太陽の光=情熱

シャネルらしい意味を持った

モチーフを採用しています。

 

ジュエリーそのものから

ディスプレイ方法まで

彼女の美学が随所に現れた

コレクションだったんですね。

 

※ちなみに現代のファインジュエリーのコレクションは

1932年のたった一度のコレクションを再解釈して作られています。

(ビジネス的にジュエリーに力入れてるんだろーな、

でもこれはシャネルが望んだ事なのか?とはちょっと思う)

 

言葉と行動とクリエイションがブレないシャネルが理想

つまるところ、シャネルがすごいのは

思想=言葉

生き様=行動

つくるもの

この3つが一気通貫しているところなんですよね。

 

シャネルが起業する際に

資産家の恋人からお金を借りはしますが

完済し対等な関係を築いているんです。

 

自立と自由を求め

実際にその通りに行動し

自身の哲学に基づいたファッションを作る。

 

こんなに説得力のあるクリエイティブはないです。

 

カメリアの花、ライオン、黒と白。

シャネルがチョイスするもの全てに

彼女の哲学があるんです。

 

それが「スタイル」なんですねぇ。

 

成功例であるシャネルと比較すると

私の”こういう女性がかっこいい”という美学が

まだまだ全然、輪郭を伴っていないとわかる。

 

ここを掘り下げる事が年始の目標の一つです。

 

この「Inside CHANEL」という

ブランドストーリーのムービーが

死ぬほどかっこいいので見てくださいませ。

inside.chanel.com