こんにちは、綾野です。
アントワープ・ダイヤモンド美術館(通称DIVA)にて現在開催中の企画展【Masterpieces in Miniature: Treasures from the Rosalinde and Arthur Gilbert Collection】に行ってまいりましたのでレポさせていただきます。
緻密なマイクロモザイクとキラキラ小箱が見どころだよ!お楽しみあれ。
- Miniature(ミニアチュール)ってそもそもなんだっけ?
- コレクションを作り上げたロザリンド&アーサー ギルバートってどんなカップル?
- マイクロ・モザイクのコレクションが圧巻
- みんな大好き(だよね?)嗅ぎタバコ入れ
- 最高の華金の過ごし方じゃ〜 はよコロナ終われ〜〜
Miniature(ミニアチュール)ってそもそもなんだっけ?
Miniature(ミニアチュール)とは①手写本彩飾画②細密画の2つの意味がありますが、今回は後者の細密画を指しています。
細密画とは緻密に描かれた小さな絵を指し、技法はエナメル・モザイク・油彩など多岐に渡ります。モチーフも肖像画、風景、植物など多様で、ジュエリーや小箱の装飾として使われます。
写真はマイクロモザイクを小箱の中心にセットしたもの。この画像で識別できるでしょうか、絵を構成する点々たち。これ一個一個手ではめてるんですよ、まじで気が遠くなるな。
今回のコレクションはとある大富豪によって収集されたミニアチュールを中心としたヨーロッパ工芸の傑作たちが展示されています。
コレクションを作り上げたロザリンド&アーサー ギルバートってどんなカップル?
今回の展示はロザリンド&アーサー ギルバート夫妻という大富豪のコレクションでありロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館が主催しています。かつてはアメリカのロサンゼルス州立美術館にあったそうですが、1995年に妻ロザリンドが亡くなった後に夫アーサーの故郷であるロンドンに移送され、全てのカテゴリーが一挙に欧州で展示されるのは初とのこと。
展示に入って早々迎えてくださったのは、アーサー ギルバート御大の蝋人形。びっくりするからやめて欲しいわ、人形のインパクト強すぎて豪奢なデスクとチェアが目に入らんわ。
ロザリンドとアーサーは1930年代イギリス・ロンドンのアパレル業界で最初の成功を納め、その後アメリカ・ビバリーヒルズに渡り不動産業でも成功したそう。彼らの情熱と有り余る富は16〜20世紀欧州製の工芸品に注がれ、40年をかけて約1,000点を収集したそうです。
覚えてますか、このブログのモットー。
オタクやるなら博物館まででしたね?(久しぶりに出したな)
それにしても500ポンドで起業、成功して30代で不動産業からのアートコレクター、今流行りのFIREもびっくりですな。ロザリンド&アーサーパイセンを見習って我々も仕事頑張りましょう。
お二人のコレクションについてより詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
V&A · Rosalinde And Arthur Gilbert And Their Collection
マイクロ・モザイクのコレクションが圧巻
ということでコレクションをご紹介していきたいと思います。
まずはこちらの絵をご覧ください。
陽気なおじさんがラッパ飲み。なんとこれ、石とガラスでできてるんですわ!
大きい方がフィレンツェモザイク(石をカットしてパズルのようにはめ込んだもの)。
小さい方が今回主役のマイクロモザイク。
こちらのマイクロモザイクは1mm単位のガラスを埋め込んで作られているのです!信じられます?生で見ても筆で描いたようにしか見えねーよ。
百聞は一見に如かず、マイクロモザイクの作り方が紹介された動画のリンクを貼っておきますのでチェケラ。
アーサーパイセンはこのマイクロモザイクの大ファンでそもそも『マイクロモザイク』という呼称もなんとアーサーパイセンが生み出したものだそう。従って通常のモザイクとの明確な線引きはありませんが、最高級のマイクロモザイクはとにかくガラスの粒(テッセラ)が細かい。これマイクロちゃうんやんという大粒のものを【マイクロモザイク】と呼んで売るディーラーもいるみたいなので、買いたいという方はその辺注意やで。
イギリス子息グランドツアーのお土産として18〜19世紀のローマで盛んに作られたそうで、コロッセオなどの観光地は人気のモチーフ。
小箱になるとこんな感じ。オーラぱない。
ジュエリーになるとこう!イタリアの真髄ここにあり〜!!って感じですねぇ。電車が時間通りにこないのになぜこんな緻密な仕事ができるんや?まじでイタリアの国民性なぞ。
アーサーパイセンはご自身で『アートコレクターというよりはマイクロモザイクマニア』とおっしゃるほどマイクロモザイクに御執心だったのですが、フィレンツェモザイクも素晴らしいお品揃えでございました。
※フィレンツェモザイクについて詳しく知りたい方は過去ブログのフィレンツェのウフィツィ美術館別館・貴石博物館レポをどうぞ
みんな大好き(だよね?)嗅ぎタバコ入れ
力尽きてきたのでここからはサラーっと写真を列挙しようと思います。
みんな大好き嗅ぎタバコ入れがたくさんあって眼福でございました。
今回の展示のハイライトちゃんを紹介するぜ!
嗅ぎタバコ入れといえばのフリードリヒ2世。彼の小箱もアーサーパイセンのコレクションの中に。まじでドリーム。天才としか。権力と富を最大限活用してくれてありがとう。フリードリヒ2世と彼の嗅ぎタバコ入れについて次回ブログ書きたい、まじ最高。
マブすぎる、動画でどうぞ。
俺の華金なう
— Ayano Jewelry🍀アヤノジュエリー (@ayano_jewelry9) 2021年5月28日
Masterpieces in Miniaturehttps://t.co/1cUDrp9W7u pic.twitter.com/McH8Xili8d
エナメルのバタフライがロッククリスタルに舞ってますわ
全方位死角なし
1770年代ドレスデン製と推察
彫金がやばすぎる一箱
この嗅ぎタバコ入れはイギリスのヴィクトリア女王が保守系政治家に贈ったものでVR(Victoria Regina)のモノグラムがダイヤモンドで描かれています。ドイツ/ハーナウ製。 pic.twitter.com/fhcBOxx0Ea
— Ayano Jewelry🍀アヤノジュエリー (@ayano_jewelry9) 2021年6月6日
ちなみにベルギーの最初の王となったレオポルド1世はヴィクトリア女王の叔父(母の弟)、植民地支配で悪名高いレオポルド2世は従兄妹にあたり、19世紀イギリスとベルギーの結びつきは強かった模様。1852年のアントワープ訪問の際にもこのような贈答品のやりとりがあったとされています。
— Ayano Jewelry🍀アヤノジュエリー (@ayano_jewelry9) 2021年6月6日
サファイアのような濃いブルーのエナメルとゴールドが最高やな
ありがとうありがとう、お腹いっぱいだよ
嗅ぎタバコいれのデザイン画も展示されていました。パソコンのない時代にこんなの、すごいよネェxエェxえぇ
最高の華金の過ごし方じゃ〜 はよコロナ終われ〜〜
ということで今回の展示のレポを終わりたいと思います。
それにしても歩いていける場所にジュエリーに関する美術館があってくれて本当によかった、まじで心洗われる。エッセンシャルすぎる。もう終わりそうだから書くけどこの冬ヨーロッパにいていいこと何もなかったからな?きついときもあったワイ!!!はよワクチン打ってパリで開催中の展示に行きたい!!!もうちょいの辛抱だ!